トップランナー基準
A01. 省エネ法(エネルギーの使用の合理化に関する法律)における機器の省エネルギー基準設定の考え方であり、「エネルギー消費機器(自動車、電気機器、ガス・石油機器等)のうち省エネ法で指定するもの(特定機器)の省エネルギー基準を、各々の機器において、エネルギー消費効率が現在商品化されている製品のうち最も優れている機器の性能以上にする」というもの。1998(平成10)年6月の省エネ法改正によって導入されている(施行は1999(平成11)年4月)。
Q02. エネルギー消費機器はたくさんあるが、その中で特定機器に指定される要件とは何か。
A02. 省エネ法の特定機器の指定要件は、次の三つである。
1) 我が国において大量に使用される機械器具であること
2) その使用に際し相当量のエネルギーを消費する機械器具であること
3) その機械器具に係るエネルギー消費効率の向上を図ることが特に必要なものであること(例えば、エネルギー消費効率の改善余地、社会的要請素等があること)
A03. 2009(平成21)年7月現在で、以下の23機器が指定されている。
・乗用自動車
・エアコンディショナー
・蛍光ランプのみを主光源とする照明器具
・テレビジョン受信機
・複写機
・電子計算機
・磁気ディスク装置
・貨物自動車
・ビデオテープレコーダー
・電気冷蔵庫
・電気冷凍庫
・ストーブ
・ガス調理機器
・ガス温水機器
・石油温水機器
・電気便座
・自動販売機
・変圧器
・ジャー炊飯器
・電子レンジ
・ディー・ブィ・ディー・レコーダー
・ルーティング機器
・スイッチング機器
Q04. 特定機器の具体的な対象範囲は、どのように決められているのか。
A04. 対象範囲は、一般的な構造、用途、使用形態を勘案して定めるものとし、1)特殊な用途に使用される機種、2)技術的な測定方法、評価方法が確立していない機種であり、目標基準値を定めること自体が困難である機種、3)市場での使用割合が極度に小さい機種は、原則として、対象範囲から除外することとしている。
【対象除外の例】
-自動車 無限軌道式(キャタピラ式)のもの
-エアコンディショナー 水冷式のもの
-テレビジョン受信機 産業用のもの
-複写機 カラー複写機
-ビデオテープレコーダー 産業用のもの
*(注)それぞれの特定機器の対象除外のうち代表的なものを記載している。
Q05. 区分の設定の考え方は、どのようになっているのか。
A05. 区分は基本指標に基づいて設定することとしている。基本指標は、1)機器の基本的な物理量(テレビ:画面サイズ、自動車:車両重量、等)、性能又は機能(電子計算機:サーバ型及びクライアント型、等)等エネルギー消費効率と関係の深いものから、2)消費者ニーズの代表性等を勘案して定めることとしている。
また、基本指標は基本的には一つであることが好ましいが、消費者ニーズに対応するために(例えば、その指標を考慮しないと消費者ニーズが高いにもかかわらず製品を市場に提供できない事態が生じ得るような場合に対応するために)、必要に応じて複数の基本指標を導入する場合もある。
【基本指標の例】
-自動車 車両重量
-エアコンディショナー 冷房能力
-テレビジョン受信機 画面サイズ
-複写機 1分当たりの複写枚数
-電子計算機:サーバ型及びクライアント型
Q06. 高度な省エネ技術を用いているために高額な製品があるが、このような製品はトップランナー基準を設定する際に、どのように考慮されるのか。
A06. エネルギー消費効率の高い製品は、価格が高いものであっても、ランニングコストが低減されることから、結果的に経済的なものとなる場合が多い。このような場合にあっては、一層の省エネルギーを推進する観点から、積極的にエネルギー消費効率の高い機器への転換が進むよう、技術的な差異に着目した区分は設けず一つの区分として取り扱うことが適当である。
しかしながら、高いエネルギー消費効率の機器であっても、使用時間が短い等の機器の使用実態によっては、ランニングコストにより省エネ技術の導入費用回収ができないほど価格が高い製品については、当該製品を目標基準値として設定した場合、低価格品に対する市場ニーズがあるにもかかわらず、低所得者等を含む消費者は、省エネの名の下に経済的に見合わない高額製品の購入を余儀なくされるおそれがある。このような場合は、技術的な違い(高価な高エネルギー消費効率の製品群と安価な低エネルギー消費効率の製品群)に着目した区分を設けることができるとしている。
A07. 製造事業者等が製造又は輸入する特定機器について、目標基準値を達成すべき年度を定めたものである。目標年度は、現在の製品のエネルギー消費効率と目標基準値との関係、従来からのエネルギー消費効率の改善の程度により異なると考えられるが、製品の開発期間、設備投資期間、将来の技術進展の見通し等を勘案した上で、適切なリードタイムを設けることが適当である。また、地球温暖化対策推進大綱の趣旨を踏まえ、2010(平成22)年度に当該特定製品の普及が可能な限り進展するように定めることを目標とする観点から、製品ごとに概ね4~8年を目安として設定することとしている。
Q08. 目標年度において、目標基準値を達成しているかどうかの判断は、どのように行うのか。
A08. 達成の判定は、製造事業者等ごとに、特定機器ごとにそれぞれの区分において加重平均方式により行うこととしている。具体的には、
1) ある製品のエネルギー消費効率と出荷台数の積を求める。
2) 区分内の他の製品についても、同様の計算を行う。
3) これらの総和を区分の総出荷台数で除した数値を求める。
4) この数値と目標基準値によって判断する。
こととしている。
加重平均方式では、目標基準値以上のエネルギー消費効率の製品をより多く生み出すことにより、真に市場が必要としている製品であれば目標基準値を下回るものであっても市場に投入し得る余地がある。このため、製造事業者等は、さらにエネルギー消費効率の高い製品を市場に投入しようとするインセンティブを得ることとなり、個々の製品のエネルギー消費効率の一層の向上が期待できる。さらに、この方式の効果により、特定機器の製品の多様性を確保することも可能となる。
なお、特定機器によっては、加重調和平均方式を用いるものがあるが、その趣旨は加重平均方式と同様である。
Q09. エネルギー消費効率の測定方法は、どのように決められているのか。
A09. 測定方法については、特定機器の使用実態を踏まえたものとして、主にJIS規格等により測定方法が規定されている場合には、可能な限りJIS規格等の規定を採用し、整合性を確保することとしている。また、待機時消費電力の削減に資する測定方法(モード)を可能な限り採用することとしている。
A10. 省エネ法に基づき、製造事業者等は特定機器に関して、そのカタログ、本体等にエネルギー消費効率等を表示する義務を負うものである(家庭用品品質表示法に規定のあるものは除く)。これは、消費者が製品を購入の際にエネルギー消費効率に関する識別を容易にするための制度であり、製品の購入者に対してエネルギー消費効率についての正確な情報を伝えることにより、エネルギー消費効率の優れた製品の普及を図るためのものである。
表示すべき事項には、エネルギー消費効率のほか、製品を特定するための「品名及び形名」、表示に対して責任を負うべき「製造事業者等の氏名又は名称」等がある。
Q11. 目標基準値を達成できない場合には、どのような措置があるのか。
A11. 省エネ法に基づき、目標基準値と比較してエネルギー消費効率の向上を相当程度行う必要があると認められる時は、その向上を図るべき旨の勧告が行われることになる。さらに、勧告に従わなかった際には、公表、命令、罰則(罰金)という担保措置が定められている。また、表示義務に関する違反についても、同様の担保措置が定められている。